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子どもの声、うるさいですか?

保育園の開設進まず

 静かな生活を送りたいと住民が反対し、保育園の開設が進まないケースが相次いでいる。東京都では子どもの声が騒音だとして、公害紛争に発展した例も。国を挙げて子育てしやすい社会の実現を目指しているはずが、なぜこうした事態となっているのか。背景を探った。(時事通信社編集局 菊地えり)

 ◇高齢者ばかりの地域になぜ

 東京都世田谷区の住宅街の一角に、約1000平方メートルの空き地が広がる。2014年7月に定員100人規模の認可保育園がオープンするはずだったが、周辺住民の反対を受け、いまだに着工のめどが立たない。

 すぐ近くに住む女性は「この辺りに暮らしているのは高齢者ばかりで、とても静かな地域。なぜあえてここに造るのか。区は『義務だから』の一点張りで納得できない」と不満をあらわにする。

 待機児童が全国で最も多い世田谷区は15年度、この園を含め20カ所の認可園を整備する計画だが、「歓迎している地域は少ない」(担当者)という。 東京23区では他にも、4月に予定していた認可園2カ所の開設が住民の反対で延期になった。首都圏の他の自治体からも、「保育園への住民の懸念は強い」「反対を受けて建設予定地を変更した」といった声が漏れる。

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