新幹線は博多駅から、そのまま車両基地へと進んだ。基地に入って驚いた。とにかく広いのだ。約33万平方メートル。新幹線の着発・留置線が30線、検修庫線と呼ばれる検査用の線が9線あり、甲子園球場がすっぽり8個入る広さだという。
正式名称を「新幹線管理本部 博多総合車両所」と言い、新幹線車両の検査、整備、改良を主な業務とする場所だという。1974年に誕生して以来、広島、岡山両支社とともに、JR西日本の新幹線の検査、修繕の拠点になってきた所だ。こだま、のぞみ、ひかりレールスターといった多くの形式の車両を診る「新幹線の病院」。定められた期間内に、1両1両に対して徹底した検査、メンテナンスをする。
パンタグラフや台車、ブレーキ装置やATC(自動制御装置)、ドアの開閉装置に至るまで、運転する上で大事な保安機器の動作確認をする「仕業検査」は、2日ごとに行う。それらの機器のカバーなどを取り外し、内部の状態や機能などを見る「交番検査」は、ほぼ30日ごとに。新幹線の高速走行を支える台車の深い傷などを調べる「台車検査」は約18カ月ごとに行うという。
機械化、合理化などで人数は減ったが、いまも1200人ほどが24時間体制で働いているらしい。この日は、社員総出でお客さんをお出迎え。ガイドによる台車センターの見学ツアーがあり、実際の新幹線の運転台に触れることもできた。1グループずつ1分間という制限つきだったが、お父さん、お母さんに連れられた子供たちが、運転台に入って写真を撮ったり、機器に触れたりして、うれしそうにはしゃいでいた。用意された制帽をかぶれば、気分は本物の運転士。かわいい声で「前方、よおし」などと叫んでいた。
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