厳冬期に災害が発生し、大規模な停電で暖房器具が使えなくなったらどうなるか。北海道北見市にある日本赤十字北海道看護大学で1月中旬、体育館を避難所に見立てた1泊の宿泊演習が行われた。演習は今年で5回目。学生や自治体関係者ら約80人が参加した。過酷な寒さの中、いかに身を守るか。実践的な対応を研究する同大の根本昌宏准教授(寒冷地防災学)に話をうかがった。(聞き手:時事通信社 宮坂一平)
― 演習のきっかけと目的は何ですか。
5年前の2010年のことですが、新潟県中越地震の後で少し平穏期に入っていました。赤十字の看護大なので、災害時に人の命を守るため何ができるか、開学以来考えていたんですが、学生たちと討議する中で、冬の災害で何が起こるんだろうと。北見の場合、零下20度まで下がるので、暖房が使えなかったらどうなるか、検証しようというのがきっかけです。
最初は秋口の9月、体育館で寝泊りしてみました。その時は自治体が想定しているブルーシートを敷いて、乾パンと塩と水だけで、あとは毛布1枚持ち込んで、寝てみたんですが、結果としては大失敗でした。
外気温は7度くらい。体育館の室温は19度くらいを保っていましたが、寝ると床面から自分の体の熱が一気に奪われ、眠れない。ブルーシートが自分たちの体を蝕んでいくようでした。
最初の結果は、ブルーシートは使わない、それを実証したということ。そのおかげで、「本気でやらなければ」と気付かされました。そこから1年ごとにレベルアップを図っていったのです。
― 今年は1月17、18日の実施。阪神大震災を念頭に置いたのですか。
いえ、厳冬期、北見が一番寒くなるのが1月中~下旬です。昨年も18、19日でした。零下10度を上回ることはないだろうということで、一番冷える時期を想定してプログラムを組んでいます。厳冬期は2回目ですね。
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