出発から16時間余り、徐々に終点が近づいてくる。乗り換え列車の案内を終えると、車掌が車内放送で「昭和63年3月13日の青函トンネル開業と同時にデビューしたこの北斗星も、定期列車としての運行が残りわずかになりました。お客様と一緒に過ごした北斗星での時間、ありがとうございました」。どこか名残惜しそうな響きだった。
定刻より数分遅れ、札幌駅に到着。ホームに降りると、向かいのホームから、大阪―札幌間を結ぶ寝台特急「トワイライトエクスプレス」が走り去るところだった。本来は1時間以上前に到着しているはずだが、この日は遅れて着いたらしい。
トワイライトも、この3月で廃止。走り去る車中で、スタッフが一列に並んで大きく手を振る様子が見えた。長旅を終えた「同僚」の北斗星をねぎらっているかのようだった。
やがて北斗星も、車庫に向けてゆっくりとホームを去り、カメラを構えた乗客らが、その姿をずっと眺めていた。「良い思い出をありがとう」。見送っていた中島さんが、さびしそうにつぶやいた。
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