「明朝の函館到着前まで、車内放送を中断します」。福島の手前で、車掌がそう告げた。通路にある洗面所で歯を磨く乗客も。いよいよ寝台列車らしい雰囲気になってきたが、話を聞く相手がいないのでは、記者商売上がったり。あすに備えて横になろうと、はしごを使って2段ベッドの上段にのぼった。
幅70センチほどのベッドに毛布と枕。頭側の壁には小さなライトが備えられている。大柄な体格にはやや窮屈と感じたが、カーテンを引くと、個室という印象が強くなり、妙に落ち着く空間だ。
横になり、ライトを消す。あまり揺れは感じず、駅を通過する時だろうか、汽笛に続いてガタゴトと列車が揺れる感覚は、ゆりかごにでも揺られているようだな…と考えているうちに、いつしかまぶたが閉じていた。
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