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さよなら「北斗星」

半世紀ぶり、懐かしの寝台車

 車内を見回すと、ベッドに腰掛けて連れ合いと話し込む人、ロビー車で飛び去る車窓をぼんやり眺める人、早々と寝る人と、楽しみ方はさまざまな様子。最後部の客車では、主婦桑原れい子さん(67)が外を眺めていた。

 実は、寝台列車に乗るのは実に半世紀ぶりとか。「19歳の頃に、北海道のあちこちに行ったの。まだ若くて皆でキャアキャアと騒いでね」と楽しげに話した。福島県出身で、郡山市にいた頃は、通過するブルトレを見るたび「きれいな青い車体で、夢がある」とあこがれていたという。

 廃止のニュースを聞き、懐かしの寝台列車に乗り込んだという。個室は取れなかったが、向かいの座席には若い旅行者。「ずーっとしゃべりっぱなしなの。楽しいですよね」と笑った桑原さん。「何でも急ぐ時代で、便利にはなったけど、その分失われるものもあると思う。利便性だけじゃ、人は生きられないなって」。

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