旅人を乗せて闇夜をひた走る寝台特急。青い車体で親しまれた「ブルートレイン」最後の列車「北斗星」(上野―札幌)が、27年間にわたる歴史に幕を閉じる。3月13日の運行を最後に、惜しまれながら引退する人気の列車に乗り込み、北の大地を目指した。(社会部・渡辺恒平、写真部・落水浩樹)
2015/03/12
2月19日の夜。出発時刻30分前の上野駅13番線ホームには、北斗星の勇姿を撮影しようと、大勢の鉄道ファンらがカメラを構えていた。しばらくすると、青い客車がゆっくりと姿を現した。上野駅は線路の一方が行き止まりのターミナル駅らしい構造。スムーズに出発できるよう、バックでホームに入るという珍しい光景だ。
乗客の中にも、出発を前に記念撮影をする姿が目立つ。客車の側面には「539」という数字などが入った北斗星の紋章が。青函トンネルの長さ約53.9キロに由来するのだという。
午後7時3分。機関車が甲高い汽笛を鳴らすと、下りの北斗星は定刻通りに発車した。「約1200キロ、16時間に及ぶ長いご旅行、ごゆっくりお楽しみください」との車掌の放送が旅情を誘う。
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