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戦地にささげた青春 元日赤従軍看護婦の証言Ⅳ

戦時の記憶を今

 多くの尊い命が奪われた先の大戦では、戦場で傷ついた傷病者を救護するため、日本赤十字社の救護看護婦たちも次々と戦地へ旅立っていった。女性の身でありながら、出征兵士と同様、「召集状」と書かれた赤紙1枚で動員され、各地で救護班が編成された。

 その派遣先は満州や中国、東南アジアにまで及び、傷病将兵や一般人の救護に当たった。しかし、戦況の悪化とともに過酷な勤務を強いられ、戦闘行為に巻き込まれたり、終戦後も長期に抑留されたりするなど、筆舌に尽くしがたい運命をたどった。

 日赤によると、日中戦争が始まった1937年から45年の第二次世界大戦終結までの間に、医師らを含む延べ3万5785人の救護員を派遣。殉職者は1187人に上るが、このうち看護婦が1120人を占めている。

 戦後70年近くなるこの時期に、関係者の協力を得て、元日赤従軍看護婦の何人かに対する長時間インタビューが実現した。自らの命も顧みず働いた戦時の記憶を今とどめなければ、語り継がれる機会が失われるとの思いに動かされた。

 今では想像することすらできない状況下で、自分たちの使命を果たそうと、ただひたすら努力し、青春をささげた女性たちの声を紹介する。

聞き手:時事通信社 宮坂一平
(2014年12月)

※インタビューを補足するため、必要箇所には( )で言葉を補うなどした

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