「耳が聞こえない作曲家」として活動した佐村河内守氏のゴーストライターを18年間務め、その事実を2014年2月に公表した音楽家の新垣隆(にいがき・たかし)さん。一連の騒動後はテレビ番組に出演したり、雑誌でモデルになったりと「表舞台」に出るようになり、本業でも仕事の依頼が増えて多忙だという。
「ゴーストライターだった」と認めた記者会見から10カ月。CD制作中の新垣さんを訪ねてインタビューし、近況や騒動への思いなどを聞いた。
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―最近は忙しい毎日を送っているそうですね。
騒動前も、割とあくせくやっていて、(仕事のペースが)極端に変わったというわけではありませんが、(依頼の)数は増えています。作曲のオファーも幾つか頂いています。もともと譜面を書く仕事を頂いているのですが、ほんの小さい作品でも仕上げるのは時間がかかってしまうので、(忙しくて)ワーっとなっています。
―騒動を乗り越えて音楽活動に取り組む今の心境は?
(ゴーストライターであると告白した)2月には、音楽を続けていくのは無理だと思っていました。それでも、音楽仲間が助けてくれて、こうやって戻ってくることができました。ベートーベンは「苦悩を乗り越えて初めて喜びがある」と言っていたと思います。ある意味、(自分の場合も)そういうことでもありますね。
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