午前5時、夜も明け切らない島根県隠岐諸島・島後(どうご)の小さな玄関口、西郷港は400人を超えるランナーであふれ返った。いよいよ、島内1周100キロを走破するウルトラマラソンの始まりだ。
このレースには6年連続の出場となるが、今年は春先に左脚を痛めたために練習量は例年の半分程度で、リタイアへの不安が膨らむ。ここはひとつ、大会のキャッチフレーズでもある、人情味あふれる島の人々との交流「感島」を体感することを第一としよう。目標を14時間30分の制限時間内でのゴールに切り替え、第一歩を踏み出した。(2014年6月、時事通信社編集委員・池田直人)
筆者が参加したのは、隠岐の島町が主催する「隠岐の島ウルトラマラソン」。西郷町、布施村、五箇村、都万村の1町3村の合併を機に、交流人口の拡大と観光産業の発展を目指し、新しい町での新たな取り組みとして05年に始まった。
都市圏での大規模大会開催が相次ぐマラソンブームだが、「ランナーよ海を渡れ!小さな島で、大きな感動!」をスローガンに、離島で地道に開催される小規模大会も魅力にあふれている。参加者は年々増加傾向で、今年の大会には100キロの部と50キロの部、合わせて過去最高となる996人のエントリーがあった。島の温かさを実感したリピーターが少なくなく、受け付け開始からわずか5日間で定員に達したという。
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