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モザンビーク、幼き母たち

地位向上の孤独な闘い

 女性の弱い立場を象徴するのが、モザンビークの刑法にある、レイプが罪に問われるのは男女が「正当ではない関係」の場合のみ、すなわち結婚していれば性交を強制しても罪に問われないという規定だ。

 ポルトガルの植民地だった1886年から維持されている問題の刑法は21世紀入りして10年以上が過ぎた今、さすがに法案段階で既に改められ、あとは最終的な議決を待つのみとなっている。アルトゥルさんらは2005、06年ころから同刑法の改正を求めて活動してきたが、ようやく実を結んだ格好だ。アルトゥルさんは、「われわれは既に勝ったが、最終的な勝利をまだ待たなければならない」と話した。

 もっとも女性の地位向上は、「法的には改められる傾向にあるが、実際面ではまだ努力が必要」と、アルトゥルさんは訴える。現に、マガンジャダコスタ郡保健局のエムナ・スミラ局長は、避妊など家族計画をしようにも、「女性はこれ以上子供は欲しくないと思っても、夫がさらに子供を望み、家族計画を拒否してしまう。そうなれば、女性は孤独な闘いを強いられる」と明かした。

 ◇若い世代に避妊の知識を

 一方で、若い世代に避妊などに関する正確な知識を広めるとともにコンドームやピル(経口避妊薬)を配布し、望まない妊娠やHIV(エイズウイルス)感染を未然に防ぐ試みも、モザンビーク各地で行われている。

 国際家族計画連盟(IPPF)のメンバーであるモザンビーク家族計画協会(AMODEFA)のキリマネ事務所。事務所の前庭では、4、50人くらいの女子学生や若い売春婦らが集まり、避妊に関する集会が行われていた。なおモザンビークで売春は、学校に十分に通っておらず、職もない若い女性にとって、手っ取り早く稼げる手段としてあまりに「身近」な存在だ。そんな売春婦の多くが、家で帰りを待つ子供を抱える母親という。

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