フランセリーナさんに年齢を聞くと、よく分からないが、13歳くらいという。出生や結婚などの届け出が曖昧なモザンビークの農村で、歳を確認することはしばしば難しい。こちらを不審そうに見つめる長男ラウドミロ君は2歳、胸に抱いた長女ドューシャちゃんは1歳とのことだった。さらに彼女は3人目をおなかに宿していた。
フランセリーナさんは小学校4年生の時、ラウドミロ君を妊娠。学校を辞めて、豆やコメを作って生計を立てている一学年上の夫と暮らし始めた。結婚していると言うが、モザンビークの法律では、男女の結婚年齢は18歳。しかし18歳になってから婚姻届を出すなど、抜け道は多い。また同国では、男女が同居することを社会的に結婚とみなすようだ。
ちなみに、モザンビークの学校教育は、初等教育(日本の小学校に相当)が7年制、中等教育(日本の中学・高校に相当)が5年制で、12年間の就学が標準とされる。小学校に入るのは6歳からというのは、日本と変わらない。
「こんなに早く子供が生まれるとは思わなかったけれど、授かれば責任が生じる」とはフランセリーナさん。結婚について、両親の反対はなかった。
幸せなの。そんな質問にフランセリーナさんは、「夫と子供と暮らすことがわたしの夢だった。子供もいて、今は幸せ」とはにかんだ。
◇バジョネ村での「発見」
経済や情報のグローバル化が喧伝(けんでん)される現在。モザンビークの首都マプトの魚市場で、魚屋のおやじがやおら懐からスマートフォンを取り出して、合計価格を計算するのを見て、つくづくと世の中のIT化を実感した。そんな時代だが、「女の一生」ほど生まれ落ちる土地や環境に左右されるものはないかもしれない。
記者の妻は35歳で妊娠、出産した。妊娠するまでの間、みっちりと学歴と職歴を積み上げ、今も何よりもやりがいを求めて仕事にいそしんでいる。同じ頃、はるかアフリカの大地では年端もいかない少女が2児の母として子供を育てている。長男ラウドミロ君はうちの息子と同じくらいの背格好だ。あまりのギャップに、どこまでも青いモザンビークの空の下で思わず考え込んでしまった。
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