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モザンビーク、幼き母たち

女性の半数以上が18歳以下で結婚

 アフリカ南部のモザンビークはインド洋に臨む。日本からは空路で、乗り継ぎを重ねて30時間前後もかかる遠国だ。しかし16世紀には天正遣欧少年使節が欧州からの帰路に6カ月間滞在するなど、意外なつながりもある。1人当たりの国民総所得(GNI)は2012年で510ドルと、世界の最貧国の一つに数えられるモザンビークだが、近年は年7%以上の高い経済成長率を達成。同国北部では世界最大級のガス田が発見されるなど、豊富な天然資源にも恵まれる。

 一方で12年のHIV(エイズウイルス)感染率は11.1%で、サブサハラ地域(サハラ砂漠以南のアフリカ諸国)平均の4.7%を大きく上回る。さらに国際児童基金(ユニセフ)によれば、20~24歳の女性が18歳以下で結婚した割合は56%と、世界的にも高水準だ。2014年5月、こうした数字の背後にあるモザンビークの女性たちの実情を、現地で見つめた。(ロンドン支局 高岡秀一郎)

 ◇未舗装路に揺られて

 モザンビーク中部ザンベジア州の州都キリマネを朝5時にたち、途中で取材や休憩などを挟みながら一路東、バジョネ村に向かった。同村までは車で約250キロの道のりという。日本では東京から浜松ほどの距離だ。東名高速道路を走れば3時間くらいで着くだろうか。ところが、ぬかるみとでこぼこだらけの未舗装路が延々と続き、車内はさながらラリーカーのように揺れ、会話も困難なほどに。ようやく村にたどり着いたのは午後3時過ぎだった。

 既に西日が差してきたバジョネ村の保健センターで見かけたのが、小さな男の子を連れ、幼子を抱えたフランセリーナ・フェルナンドさんだった。

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