会員限定記事会員限定記事

あなたの知らないブルガリア

歴史と文化、琴欧洲とヨーグルトの国

 地理的に、欧州連合(EU)で日本に一番近い国はどこか。1位はフィンランド。2位が僅差でブルガリアだ。近いのに、日本からは直行便がない。行くとなると少し時間がかかる。今回はまず10時間かけてモスクワへ。3時間ほど待ってブルガリア行きに乗り換え、そこからさらに3時間かかった。
 バルカン半島の南端に位置し、アジアと欧州の文化が複雑に重なり合った国、ブルガリア。数多くの遺跡が残る、歴史と文化の国にやってきた。名産のヨーグルトや、大相撲・琴欧洲関の出身地というだけにとどまらぬ、この国の新たな魅力をお届けしよう。

時事通信社外信部 松尾圭介

 日本で「ブルガリアについて知っていることは?」と聞けば、8割方「ヨーグルト」という答えが返ってくる。1970年の大阪万博でブルガリア館を訪れた日本のヨーグルト職人が、試食し、そのうまさに感激するという「運命の出会い」があった。研究を重ね、後に明治乳業が発売。「♪~明治ブルガリアヨーグルト」というCMのメロディーに、聞きおぼえのある人も多いはずだ。
 日本でブルガリア人に出会うと、私も含め多くの日本人が同じ質問をするらしい。
 「ブルガリアのヨーグルトは、本当にあの(明治乳業の)ブルガリアヨーグルトと同じものですか」

 バシレフ駐日ブルガリア大使も、何度か聞かれたという。
 「ブルガリアがヨーグルトだけの国ではない、と知ってもらうことは私の重要な任務だ」と、大使は語る。やや申し訳ない。
 確かに現地に行ってみると、実に多彩なヨーグルトの食べ方をしている。基本は、日本で食べるのと同じプレーン。朝食にも夕食にも出てくる。それ以外にも、サラダにかけたり、チーズの揚げ団子にかけたり…。スープにしてしまうのには少し驚いた。
 聞けば、紀元前5000年ごろから食べられている、とか。ブルガリア最古の文化が、今も毎日の食卓に載っているというわけだ。
 一方、ブルガリア人から見た日本のイメージは?
 名門、ベリコタルノボ大の日本語学科の学生に聞いたところ、「アニメ」、「漫画」、「ゲーム」という答えが返ってきた。なるほど。いろいろなアニメのタイトルも列挙してくれたが、45歳の私がストーリーまで含めて理解できたのは「機動戦士ガンダム」だけだった。

新着

会員限定


ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ