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再発見!道南の食文化と歴史

新幹線開通間近で注目

 2016年3月末、これまで新青森までだった新幹線が、いよいよ函館まで乗り入れる。新鮮で安い海産物が手に入る朝市や温泉、幕末から明治にかけて建てられた洋風建築物など、函館には注目スポットが多いが、道南にはさらに歴史的に古い町がある。新幹線の開通で注目される、道南の町と函館を13年10月末から11月初めに巡った。

 イカと昆布をしょうゆで漬けた「松前漬け」をご存知だろうか。道南の土産物の代表格として、函館の朝市でも数の子入りの豪華版をよく目にする。実はこれ、その名の通り松前町の名物だ。函館からバスで3時間。途中でJRを利用しても2時間半かかる、津軽海峡に面した北海道最南端の町の食生活に欠かせないものだ。

 松前は、幕末に米国のペリー来航をきっかけに国際港となった函館よりも古くからの港町だ。領主だった松前氏は豊臣秀吉や徳川家康の時代に大名として認められ、江戸時代に入ると松前藩となった。冬は雪に閉ざされる北海道で藩を運営することができたのは、北前船を使ってサケや昆布、ナマコの干物、干しアワビなど本州各地との交易に加え、アイヌやロシアなどとの密貿易で栄えていたからだ。

 現在の町の人口は9000人に満たないが、当時は1万5000人から1万8000人もあったという。

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