―スタジオジブリの今後については?
(自身の引退で)やっと上の重しがなくなるのだから、こういうのをやらせてという声が若いスタッフから鈴木さんに届くことを願っている。僕らは30歳の時も40歳の時も「何でもやるぞ」という覚悟で、いろんな企画を抱えていたが、それを持っているかどうか。鈴木さんは門前払いはしないから、いろんな人間の意欲や希望、能力にかかっています。
―今後、アニメとは違う形で発信することはありますか。
僕は文化人になりたくないんです。町工場のおやじを貫きたい。だから、何かを発信しようとは考えていません。文化人ではありません。
―先ほど「この世は生きるに値する」という話があったが、2013年の世の中をどう定義している?
そのメッセージですが、僕が考案したものではありません。読み物や昔見た映画とかから受け取っているのでしょう。(先人たちは)繰り返し繰り返し「この世は生きるに値するんだ」と言い伝え、本当かなと思いつつ死んでいったんじゃないか。それを僕も受け継いでいるんだと思う。
―どんな70代にしたいですか。
これからの10年はあっという間に終わるでしょう。ジブリ美術館を作ってから10年以上たっているから、さらに早いだろう。そんなもんだろうと思っています。
―今の健康状態は?
今の僕の体重は63.2キロ。実は、50年前は57キロで、60キロを超えたのは結婚したから。一時、70キロを超えたが、その頃の写真を見るとブタみたいだった。外食をやめて、朝にしっかり食べ、昼は弁当、夜はおかずだけ食べるようにしたら、それできつくないことが分かった。そうしたらこういう体重になった。僕は(アニメーターとして)スタートした時の57キロで死ねるといいなと思っています。
健康にはいろいろ問題があるが、よってたかっていろいろやらされているので、何とかなるんじゃないか。
―引退を奥さんには何と伝えましたか?
家内には、こういう引退の話をしたと伝え、お弁当は今後もよろしくお願いしますと言ったら、「ふん」と言われました。常日頃から、「この年になって、毎日お弁当を作っている人はいない」と言われているので。外食は向かない人間に改造されてしまったんです。
―最後にメッセージを。
長い間、いろいろお世話になりました。もう二度とこういうことはないと思います。ありがとうございました。
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