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宮崎駿監督 引退会見詳報

ジブリ美術館に関わりたい

―今後、短編アニメを製作する考えは?

 「公式引退の辞」(下記参照)に書いたように、ぼくは自由です。車の運転ができる限りは毎日アトリエに行き、やりたくなったもの、やれるものはやろうと思っています。前からやりたかったことはありますが、それはアニメーションではありません。

―今後の活動については?

 三鷹の森ジブリ美術館の展示などについては、関わらせてほしいと思っている。ボランティアかもしれないし、自分も展示品になっちゃうかもしれないが(笑)。

 ジブリ美術館の展示は10年以上前に描いたので、ずいぶん色あせたり、描き直したりしなければいけないものが、ずいぶんあって。それをパクさんはやりたいと思っているんです。自分が筆やペンで描いたりしなきゃいけないものなので、時間ができたらやりたい、ずっとやらねばと思っていました。

 美術館の展示品は掃除して、きれいにしているのに、いつのまにか色あせて全体的にくすんで見える。それでも、1カ所をキラキラさせるとよみがえり、子どもたちが群がるようになると分かりました。ずっと手を掛け続けなければいけないのは確かなので、それをやりたい。

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     「公式引退の辞」

 ぼくは、あと10年は仕事をしたいと考えています。自宅と仕事場を自分で運転して往復できる間は、仕事をつづけたいのです。その目安を一応“あと10年”としました。

 もっと短くなるかもしれませんが、それは寿命が決めることなので、あくまでも目安の10年です。

 ぼくは長編アニメーションを作りたいと願い、作って来た人間ですが、作品と作品の間がずんずん開いていくのをどうすることもできませんでした。要するにノロマになっていくばかりでした。

 “風立ちぬ”は前作から5年かかっています。次は6年か、7年か……それではスタジオがもちませんし、ぼくの70代は、というより持ち時間は使い果されてしまいます。

 長編アニメーションではなくとも、やってみたいことや試したいことがいろいろあります。やらなければと思っていること--例えばジブリ美術館の展示--も課題は山ほどあります。

 これ等は、ほとんどがやってもやらなくてもスタジオに迷惑のかかることではないのです。ただ家族には今までと同じような迷惑をかけることにはなりますが。

 それで、スタジオジブリのプログラムから、ぼくをはずしてもらうことにしました。

 ぼくは自由です。といって、日常の生活は少しも変わらず、毎日同じ道をかようでしょう。土曜日を休めるようになるのが夢ですが、そうなるかどうかは、まぁ、やってみないと判りません。

 ありがとうございました。

 以上

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