犬や猫などペットを家族の一員としてかわいがる人は多い。一方で、行政により殺処分される犬猫は年間20万匹余りに及んでいる。特に避妊や去勢をしない猫の過剰な繁殖で、猫の処分数は約15万匹に上る。こうした現状を変え、猫の命をできるだけ救おうと、ボランティア、住民らと協力して不妊手術や里親探しに取り組む自治体も出てきた。(文化部・森映子)
※ ※ ※
全国の保健所、動物愛護センターなどで行政が引き取った犬猫のうち、飼い主への返還や譲渡は2割に満たず、8割余りが殺処分にされている。特に動物愛護センターなどでは、数時間おきに授乳が必要な子猫の世話まで手が回らないため譲渡対象にならず、処分される8~9割は生後間もない子猫だ。
猫は生後半年程度で妊娠可能になり、年2~3回、1回当たり3~6匹出産する。このため数年で何十匹にも増える。ガス、薬による殺処分を減らし、ふん尿や鳴き声などのトラブルを解決するためには、避妊や去勢をする必要がある。
猫の不妊手術にはメリットも多い。環境省は「望まない子猫が生まれないだけでなく、雌は避妊することで一生繁殖のストレスから解放され、穏やかに過ごすことができる。妊娠、出産の負担がなくなり、生殖器の病気や交尾でうつる白血病など病気の心配もなくなる」と説明。一方、雄については、「去勢することで、尿のにおいが薄まり、あちこちに尿をひっかけることもなくなるので、室内で飼い主と快適に暮らせるようになる。外に出たり、他の雄猫とけんかしたりする衝動も少なくなり、猫エイズなど感染症の危険性も低くなる」と飼い主に呼び掛けている。自治体には、殺処分を減らすための数値目標の設定を求めている。
新着
会員限定