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【特集】拉致被害者家族の思い

空白の10年、焦り募らす

 たった一つの願いもかなわぬまま、時間だけが過ぎた。

 北朝鮮が日本人の拉致を認めた日朝首脳会談から2012年9月17日で10年。5人の拉致被害者が帰国して以降、新たな救出は実現していない。

 被害者の肉親は年を重ね、疲労を蓄積。政府の腰の重さに失望し続けた空白の10年間だった。それでも国や世論に頼るしか道はない。焦りを募らせながら闘っている家族を取材した。

 (各被害者の名前の後のカッコ内は拉致された時期と当時の年齢)



 「助けて」のお願い、いつまで

 ◇横田めぐみさん(77年、13歳)=父滋さん(79)、母早紀江さん(76)

 5人の拉致被害者が帰国したときは、あと2、3年で終わると思っていました。めぐみが拉致されてから11月で35年。これだけ大事なことが解決されないままなんて不思議です。

 全国を署名集めに回り、重ねた講演会は1300回以上。なぜ、いつまで「助けてください」とお願いし続けなければいけないのでしょう。

 署名集めをしていると、知らん顔で通り過ぎる人もたくさんいますが、拉致は「かわいそう、運が悪かった」という問題ではありません。大切な国民が連れ去られても35年間取り返すことができない国だと、世界は見ています。政府はしっかり交渉してほしいし、国民も推移を一生懸命見詰めてください。

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