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歴史の十字路・トルコ南東部

多様な文化や宗教の足跡

 古代メソポタミア文明を育んだユーフラテス川とチグリス川の上流に位置するトルコ南東部。東西南北の交差点に位置するこの地は、数千年にわたり名だたる帝国の勢力争いの舞台になってきた。ペルシャ、ローマ、オスマントルコなど、多様な文化や宗教的背景を持つ国々の足跡がこの地には随所に残っている。

 その歴史的魅力とは裏腹に、観光分野の開発はまだまだ発展途上にある。カッパドキアやトロイ遺跡など観光資源に恵まれたトルコは、旅行先として日本人にも既に定着しているが、トルコ南東部に出向く日本人はごくわずかにとどまる。

 2012年6月中旬、トルコ南東部のマラティヤ県とウルファ県を訪れる機会を得た。成田からイスタンブールを経由して降り立ったマラティヤ県の県都マラティヤ市は道路は広く整備され、道路沿いには新しいショッピングモールが立つ。マラティヤの歴史はヒッタイト帝国にまで遡るが、車窓から見る風景は、「古都」というよりも、整備が急速に進む地方都市という印象だ。この町に一体どんな歴史の足跡が残っているのだろうか。その魅力に迫ってみたい。


◇マラティヤ県とウルファ県◇

 マラティヤ県は東アナトリア地方の高原に位置し、東側にユーフラテス川が流れる。果物生産が盛んで、特に乾燥あんずは世界シェア75%を誇る。南東アナトリア地方のウルファ県はユーフラテス川とチグリス川の間に位置。夏の暑さはトルコ国内でも最も厳しく、7~8月は気温が50度を超えることもある。

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