会員限定記事会員限定記事

【特集】垂直離着陸機オスプレイ

世界で最も複雑な航空機

 絶対に故障しない航空機はなく、特に試作段階での事故を完全に防ぐことは難しい。他の航空機やヘリコプターに比べてオスプレイが「危険」なのかどうかは、ある程度の運用期間を経ないと断定はできない。ただ、固定翼機とヘリコプターの特長を兼ね備えたオスプレイは、機体構造が極めて複雑になってしまった。システムが複雑化すれば、整備にも手間が掛かり、故障のがい然性が高まることは否定できないだろう。

 また、飛行に際して、「ヘリコプターモード」「転換飛行」「固定翼機モード」という過程を経るため、操縦はかなり難しく、高度なスキルが必要になる。もちろん、コンピューターを介して操縦するフライバイワイヤ方式を採用しているが、パイロットの操作がすべてを決める点は他の乗り物と同じだ。

 プロップローター軸を地面に対して平行にした固定翼機モードでは、普通の飛行機と同じように、昇降舵、方向舵、フラッペロン(高揚力装置と補助翼を兼ねた動翼)の動きに、エンジン出力の調整を組み合わせて操縦する。パイロットは、ひざの間に設置されたステッキ型の操縦桿で機首の上下と機体の回転をコントロールし、足元のペダルで方向舵を操作する。座席左側には自動車のアクセルに相当するスロットルレバーがあり、これでエンジン出力を調整する。

 一方、プロップローター軸が地面と垂直のヘリコプターモードでは、左右のプロップローターの傾きとエンジン出力の調整で、前後左右の動きと上昇・下降、さらにはホバリング(空中での静止)を行う。このモードでは、操縦桿でプロップローターの傾きを操作、機体の姿勢を制御しながら、スロットルレバーで上昇、下降、ホバリングという垂直方向の動きと、水平方向のスピードをコントロールする。

 固定翼機モードとヘリコプターモードの操縦感覚はまったく違うが、「転換飛行」中は両モードの操縦法を組み合わせて機体をコントロールしなければならない。しかも、プロップローターの角度が変わるにつれ、操縦方法が徐々に変化していく仕組みになっており、習熟するまでに相当の訓練が必要だ。

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ