【特集】垂直離着陸機オスプレイ

世界で唯一のVTOL輸送機

 米軍が配備を進めるV22オスプレイは、世界で唯一、実用化に成功した垂直離着陸(VTOL)輸送機だ。

 オスプレイは、プロップローター(プロペラと回転翼を兼ねた推進器)の角度を飛行中に水平から垂直に遷移させる「ティルトローター」方式を採用。固定翼機と同レベルの飛行速力と航続力、ペイロード(貨物積載量)を持ちながら、ヘリコプターのように垂直方向にも上昇・下降できる能力を獲得した。従来型の輸送機やヘリコプターでは不可能だったミッションを遂行できることから、米軍は軍事作戦の在り方を変える「ドリームマシーン」と呼んでいる。

 ただ、そのドリームを実現するために機体は航空機史上で最も複雑なシステムとなり、開発には25年もの歳月と莫大な経費を要した。操縦も難しく、試験飛行中には墜落事故が多発して「ウィドウメーカー(未亡人製造機)」というありがたくないニックネームを付けられてしまった。

 オスプレイは実用配備された後にも事故を起こし、その安全性を危ぶむ声もあるが、米軍は海兵隊や空軍での配備を着々と進めている。垂直離着陸輸送機を大量に保有すれば、米軍の緊急展開能力は格段に向上し、対テロ戦争の行き詰まりで陰りが見える米国の軍事的威信を回復できる可能性があるからだ。特に東アジア地域では、南方・東方海域への進出意欲を隠さない中国、核兵器やミサイルの開発を続け国際社会に脅威を与える北朝鮮をけん制する意味からも、米国はオスプレイの役割を重視している。

 日本も2013年12月にまとめた中期防衛力整備計画に、オスプレイを18年度までに17機導入する方針を明記。14年7月には小野寺五典防衛相が、15年度の概算要求にオスプレイ購入費を計上し、調達を始める意向を明らかにした。防衛省は離島の防衛などを任務とする「水陸機動団」の編制を進めており、オスプレイが導入されれば、この水陸機動団が東アジアの安全保障に与えるインパクトが増すことも確実だ。

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