納豆のヒミツ

ネバネバがおいしさの元

 日本の代表的な発酵食品「納豆」。独特の香りとネバネバが、「ご飯の友」として食欲をかき立てる。

 いわゆる「糸引き納豆」には関東や東北の食べ物という印象もあるが、全国納豆協同組合連合会の調査によると、全国平均で6割以上の世帯が週1回以上、納豆を食べている。納豆を食べる文化そのものは、全国にしっかり根付いていると言ってよさそうだ。

 ところが、納豆ご飯を毎朝食べていても、どうやって作られているのか、「おいしい」と感じるうまみの元は何なのか、納豆の実態を知っている人は少ない。そこで、今回の特集では、納豆メーカー大手のミツカンの協力を得て、納豆をめぐるさまざまな秘密に迫ってみることにした。

 糸引き納豆がいつ日本の食卓に登場したのか、確かなことは分かっていない。平安時代の武将、源義家が東北から持ち帰ったエピソードなど、さまざまな「納豆発祥伝説」が残っており、現在の納豆と同種の食品がかなり古くからあったことは間違いないようだ。ただし、それが一般庶民の食べ物として広く普及したのは江戸時代で、特に江戸っ子の朝食には納豆が欠かせないと言われるほど人気のある食品だった。

 江戸時代に納豆が広まった理由もはっきりしないが、大豆を原料とするしょう油や豆腐、味噌などの加工食品も同時期に普及している。巨大な消費都市である江戸の食生活を支えるため、米の裏作である大豆の生産量が増え、それに伴って大豆製品も広まったのだろう。なお、この時代の糸引き納豆は関東だけでなく関西でも広く消費されていたが、関西の場合、ご飯にかけるよりも「納豆汁」の具として用いられる方が一般的だったようだ。

 糸引き納豆を発酵させるのは「納豆菌」。これは「枯草菌」と呼ばれる微生物の一種で、名前の通り枯れ草の中などでごく普通に生存している。煮た豆をワラなどで包んで保管しているうちに、そこにいた納豆菌が作用して、糸引き納豆が生まれたというのが通説だ。

 納豆菌の発酵に適している温度は摂氏35~45度とされ、そうした環境で大豆に付着した納豆菌はタンパク質分解酵素を生産して、大豆のタンパク質をアミノ酸に変化させる。同時に独特の粘質物も生成されるが、実はこのネバネバこそが納豆のおいしさを形成している。ネバネバの主成分はコンブのうま味成分としても有名なグルタミン酸で、これが納豆の味を決めているからだ。従って、食べる前に納豆をよくかき混ぜ、粘りを出すことは、おいしく食べる上で極めて重要な作業と言える。ちなみに、納豆のネバネバを水洗いしてから食べてみると、まったくおいしくない。無理に試してみる必要はないが、ネバネバこそ納豆の命であることがよく分かる。

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