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50年のレース人生回顧 高橋国光氏

みんな紳士だった

 「もちろん、勝ちたかった。でも、目の前で仲間がクラッシュして、誰かが行かないと命がなくなってしまう、と考えた時、たぶん、マン島での大事故で命は大切なんだって感じたからなのかなあ。ブレーキに足が行って止まったんですよ」

 今でもファンの間では語り草になっているエピソードについて、懐かしそうに話す高橋さん。でも、本当にうれしかったのは優勝とは別のことだという。

 「ビッグレースで勝てたのはうれしかったけど、みんなが止まってくれて、日本のレーシングドライバーも、ファンも関係者も、みんながジェントルマンだった。それまで、レースって言うと暴走族みたいな扱いを受けていましたが、本当は全然違う世界なんだ、って証明できた。それで勝てたからうれしかったですね」

 1995年、世界3大レースのひとつ、ル・マン24時間レースでホンダNSXを駆ってGT2クラス優勝したのも日本のモータースポーツ史に残る戦跡だ。

 「当時55歳になって、ドライバー、メカニック、マネジメント、オール日本人で挑戦して、日の丸を揚げた。24時間がすごく素晴らしいレース。いい大人が24時間、財産を投げ出して、夢中でレースをやる。考えると面白いなあ、と思います。レースが先生のようにいろんなことを教えてくれる」

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