「国さん」-。大勢のファンや後輩レーサーからもそうやって慕われる元プロレーシングドライバー高橋国光さんは、70歳にしてレーシングチーム「TEAM KUNIMITSU」の監督を務める。2輪世界選手権ロードレースで1961年、当時の西ドイツGPの250ccクラスで日本人として初めて優勝、その後4輪に転向し、59歳まで走り続けた。そんな高橋さんに現役時代の思い出などを聞いた。
「時計のように精密」と呼ばれたホンダエンジンを積んだワークスマシンRC162を駆り、高橋さんは西ドイツ・ホッケンハイムサーキットを誰よりも速く駆け抜け、メーンポールに日の丸をはためかせた。世界GP参戦2年目、まだ21歳だった。
「本当に昨日のことのように覚えてます。でも、その時はきょとんとしていたんですよね。勝てるなんて夢にも思っていなかった。世界の一流ライダーのテクニックは別世界でしたから」
世界GPに参戦した当時の驚きを、高橋さんはそう振り返る。
(聞き手:時事通信社文化部 寺田滋)
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