梅は中国から平安期ころに日本に渡来した。「梅=日本」の印象が強いのか、梅の英語名は「Japanese Apricot」だ。
「望梅止渇(ぼうばいしかつ)」との言葉がある。中国魏の曹操が兵士たちに、「あの山を越えれば梅林があるぞ」と励ました、との故事に由来する。豊臣秀吉にも同様のエピソードが残る。
梅酢は古来、塩とともに不可欠な基本調味料となり、味加減を意味する塩梅(あんばい)という言葉も生まれた。
それほど日本の食生活に溶け込んだ梅や梅干しだが、梅干しの消費量は近年伸び悩んでいる。シェア25%と全国一の梅生産地である和歌山県みなべ町の林秀行うめ課長(全国で唯一の「うめ課」である)によると、1世帯当たりの年間梅干し購入量は2002年の1053グラムから、08年には778グラムに減少した。
林課長は「梅干しの消費を伸ばすには若年層の取り込みが不可欠」と力を込めて語った。
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