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ダイムラー、燃料電池車に懸ける思い

影が薄い「究極のエコカー」

 日産自動車の完全電気自動車(EV)「リーフ」の量産、トヨタ自動車による米EVメーカー、テスラ・モーターズへの出資―。最近の自動車業界では、環境意識の高まりを背景にEVの話題が目白押しだ。

 そんな中、ドイツの自動車大手ダイムラーは、存在感が薄れがちなもう一つの次世代エコカー、燃料電池車(FCV)についても、将来性を確信して、研究開発を粘り強く続けている。ダイムラーの研究開発拠点を訪れ、FCVに懸ける同社の思いを探ってみた。

(文・写真=外経部 須永野歩)

 FCVとは、水素と空気中の酸素との化学反応で発生させた電気を動力にして走る車だ。走行中に排出するのは化学反応で生じる水だけで、「究極のエコカー」とも呼ばれ、数十年前から開発が進められてきた。しかし水素を車に充てんする「水素スタンド」の整備や高い製造コストがネックとなっており、一般の認知度はいまひとつだ。

 「10年度までにFCV5万台を普及」とした日本政府目標に対し、07年度時点の国内保有台数はわずか42台にとどまる。世界各地の自動車ショーでも、最近は各社がこぞってEVの新モデルをお披露目する中で、FCVは影が薄い。

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