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打者大谷vs剛腕コール 2020年は「投打」で火花も

濃密な対決

 米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手(25)が打者に専念した2019年シーズンで、成長を示す「6打席」があった。同年12月にフリーエージェント(FA)でアストロズからヤンキースへの移籍が決まったメジャー屈指の剛腕、ゲリット・コール投手(29)との対決だ。大谷が18年に大リーグデビューしてから、二人の対戦は計12打席。1年目は6打数1安打と力を見せつけられるような結果に終わったが、2年目は二塁打を含む5打数2安打、1四球と意地を見せた。互いをリスペクトし合う濃密な一騎打ちを追った。(時事通信ロサンゼルス支局エンゼルス担当 安岡朋彦)

◇ ◇ ◇

 右腕のコールはメジャーを代表する先発投手。シーズン最速101.1マイル(約163キロ)、同平均97.1マイル(約156キロ)の直球に加え、鋭く曲がるスライダーやカーブ、チェンジアップを駆使し、20勝5敗、防御率2.50、326奪三振という抜群の成績を残した。メジャーでシーズン「320奪三振」をクリアしたのは、02年にダイヤモンドバックスで334三振を奪ったランディ・ジョンソン以来17年ぶり。サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)の得票ではアストロズで同僚だったジャスティン・バーランダー投手に次ぐ2位ながら、文句のつけようがない投球を見せた。

「350億円右腕」の実力

 コールは19年オフにFAとなり、激しい争奪戦の末にヤンキースと9年3億2400万ドル(約350億円)の超大型契約を結んだ。大リーグ史上最高額となる1年平均3600万ドル(約38億9000万円)という金額からも、桁違いの実力をうかがい知ることができる。

 直球の威力、スライダーやカーブの鋭さは記者席やテレビで見ていても明らか。実際に対戦した大谷に印象を問うと、「(バッターボックスで受けた印象も)そのまま。先発投手では球は(頭一つ)抜けている。一個一個のボールがすごい」と答えた。

 さらに大谷は、コールに理想のエース像を見る。

 「何もやらせてもらえなかった打席があった。(凡退した打席も)『打てたな』と思ってベンチに下がるのと、『全然駄目だったな、ノーチャンスだったな』と思ってベンチに下がって次の打席を迎えるのでは、全くメンタルが違う。次の試合のメンタルも違う。1カード3試合あって、1試合目に先発してきたら、2試合目、3試合目まで引きずってしまうようなピッチャーだと思う」

 それは自身が投手として目指すべき姿でもあるという。

18年は単打1本

 2人の初対戦は18年5月15日、エンゼルスの地元アナハイムで行われた試合だった。第1打席は空振り三振、第2打席は三邪飛に抑えらたものの、第3打席で内角低めへのカーブを引っ張って右前へのクリーンヒットを放った。

 3打数1安打と、まずまずの打撃。だが、続く9月21日の敵地ヒューストンでの顔合わせではコールが大谷を力でねじ伏せにかかる。この日の3打席で投じた計11球のうち、変化球は第3打席にカウント球で使ったスライダーの1球だけ。第1打席、大谷は2ボール2ストライクから、高めのボールゾーンに浮き上がるような軌道を描く96.9マイル(約156キロ)に手を出して空振り三振。第2、第3打席はともに中飛。悪い当たりではなかったが、直球を仕留め切れなかった。

 18年は計6打席で出塁は単打の1度だけ。エンゼルスも2戦2敗。結果も内容も、コールの完勝だった。

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