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打者たちの勲章 2000安打

古田に次ぐ快挙達成へ

 2011年のプロ野球では田中将大(楽天)がパ・リーグ投手部門で最多勝、最優秀防御率、最高勝率の3冠に輝き、ダルビッシュ有(日本ハム)は5年連続防御率1点台(2リーグ制下の新記録)を達成。飛ばない統一球が採用された中で、中村剛也(西武)が48本塁打を放つなど、高水準の数字が数々刻まれた。

 それらと比較すると一見地味ながら、セ・リーグ打率3位に入ったベテランの頑張りには驚くしかない。11年で41歳のヤクルト・宮本慎也内野手。統一球導入の影響で球界全体の平均打率が2割6分9厘から2割4分7厘へと大きく下がる中、3割2厘をマークした。日刊スポーツ紙によれば、41歳シーズン以上での打率3割(規定打席以上)は、落合博満(2度)、戸倉勝城、門田博光に次いで4人目のケースだという。三塁守備でも292の守備機会でわずか1失策。1968年の徳武定之(中日)の9割9分3厘を上回る9割9分7厘の三塁手最高記録をマークした。

 もともと遊撃手だった宮本は11年に143安打を積み足し、通算1975安打とした。そう、プロの中のプロと認められる2000安打まで、あと25本と迫ったのだ。よほどのアクシデントがない限り、12年シーズンでの達成は間違いない。宮本と言えば、同大-プリンスホテルを経てのプロ入り。大学、社会人を経験した上での達成は、ヤクルトの先輩、古田敦也に次いで2人目ということになる。野村克也監督の下、ヤクルトを強豪チームに成長させた古田と宮本が似た経歴を経て金字塔を打ち立てることは、このチームのファンには誇り高い出来事だろう。まして、2人は打つだけの選手ではなく、守備の負担が大きい捕手と遊撃手。一、三塁手や外野手が達成するより、価値が高いことは言うまでもない。

 11年は、17年目で初めてベストナインに選出され、ゴールデングラブ賞も手にした。「ベストナインは今までなかなか縁のなかった賞なので、初めていただけて素直にうれしい。たいへん光栄に思う」。40歳11カ月での受賞は2008年の金本知憲(阪神)を抜いて、セ最年長での栄誉。「想像もしなかったぐらいの素晴らしい成績だった」と個人的には納得のシーズンとなった。

 ただ、チームが終盤に失速して優勝に届かなかったとあって、「優勝を逃した思いが強い」と悔しさも強く残った。12年は2000安打達成、チームの優勝と2つの大きなテーマがある。「個人的には大記録(の目標)がある。チームの戦力となった上で、何としても早く達成したい」と明確に口にして新たな戦いに挑む。

◇プロ野球安打数上位者

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