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【パレスチナ】絵画で訴える怒りと悲しみ ガザの画家3人

「奇跡」の来日

 「天井のない監獄」とも呼ばれるパレスチナ自治区ガザ地区から、パレスチナ人画家3人が2019年2月に初来日し、東京都内などで展覧会を開催した。

 ガザはイスラエルとの度重なる戦闘や境界封鎖により荒廃している上、昨春以降は、対イスラエル境界沿いでの反米・反イスラエルの抗議デモで死傷者が続出。「私たちパレスチナ人はここにいる、と世界に訴えるために戦っている」。

 3人は絵画を通じて行き場のない怒りや悲しみを伝えている。

(外信部・前エルサレム特派員=浅見麻衣)

困難を極めた道のり

 来日したのはガザ市出身のソヘイル・サレムさん(44)、ガザ地区中部ブレイジ難民キャンプ出身のモハマド・ハワジリさん(43)とラエド・イサさん(43)。3人は、02年にガザで設立された芸術家グループ「エルティカ」のメンバーで、時々エルサレムや海外で展覧会を開催したり、オークションで作品を売ったりして、芸術家として生計を立ててきた。

 来日が実現したのは、ソヘイルさんと20年来の友人で日本人画家の上條陽子さん(81)の呼び掛けがきっかけだった。「イスラエルによるパレスチナ人に対する人権侵害を見聞きしてきて、何かしなくてはと思った」(上條さん)といい、画家仲間ら100人以上から3人の招請費用として計約150万円を集めた。

 しかし、ガザから日本までの道のりは困難を極めた。日本入国のためのビザ取得に約2カ月。イスラエルとの境界にあるエレズ検問所から出国できる可能性は低かったため、エジプトとの境界にあるラファ検問所からの出国を試みたが、この検問所も不定期にしか開放されず、既に大勢の人が待機している状況だった。

 日本政府関係者の取り計らいもあり、検問所には2日間の足止めで済んだが、そこからカイロまでタクシーで約14時間。その間、検問も数十カ所通過した。ハワジリさんは「カイロから日本までの飛行時間の方が、ガザからカイロまでかかった時間よりも短かった」と笑った。

 当初の予定から大幅に遅れた2月10日、日本にようやく到着した。3人は口々に「奇跡だと思った」「この夢から覚めないといいと思った」と喜びを語った。

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