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国家でない第3の団体が個人を守る~全中会長と佐藤優氏が対談~

農家と消費者の距離が問題

【佐藤氏】
 農業人口を増やすにはどうしようと考えているか。

【中家氏】
 和歌山の梅農家は、かつお梅のような減塩ブームの時に消費が非常に伸び、100%後継者が残った。今は親が子供に「厳しいからもういいよ」という時代。これではいけない。ある程度安定的な所得を確保できることが大事だ。そして、農家は「命の一番大事な事に携わる」というプライドを持っている。

【佐藤氏】
 非常に重要な事だ。私の家の近くのスーパーでは、高いものを買っていく人も多い。価格以外の価値、経済合理性とは違う原理が働いている。具体的な生産者の顔が見える関係が大事だ。あとは、価格競争、価格だけの原理でやっていたら大変なことになるぞ、という教育が必要。

 定年後に農業をやりたい人もいる。若い人の場合、所得の保証と子供の教育が課題になる。ここは国家的プロジェクトとして取り組む必要がある。

【中家氏】
 今、消費者と農家が離れている。例えばミカンも、全部売り場にあるような綺麗な実が木に出来ているわけではない。農家の現場の苦労がなかなか分かってもらえない。

【佐藤氏】
 生協も中小企業も、農協と共通する点がある。株価上昇という、大企業の論理と違う所でモノを作る、サービスを提供する立場。今後はネットワークの要として、JAの役割が大きくなっていくと思う。

【中家氏】
 農協は外向きに発信する力が弱かった。今後は今まで以上に外に出て行って、話をしたい。

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