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衰えないオリンピアン 1964年東京出場の4人に聞く

50年以上にわたり追跡調査

 ◇歯5本多く、高い骨密度
 オリンピアンの体力は年齢を重ねても衰えないのか-。日本体育協会(日体協)は1964年東京五輪に出場した約380人の代表選手を対象に、50年以上にわたって健康と体力の変化を継続的に調査してきた。

 68年から「一流競技者の健康・体力追跡調査」を夏季五輪開催年に実施。国立スポーツ科学センター(JISS)で13回目の調査が行われた。約120人の参加者の平均年齢は男性74歳、女性76歳。2012年に行われた前回までの調査では概して一般の水準よりも健康で、高い体力を維持していることを示す数値が出ている。

 データでは高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病の罹患(りかん)率が一般の平均よりも低く、歯は平均よりも約5本多く残っている。骨密度が高く、関節に痛みを抱える人の割合は少ない。男性の70%以上、女性の60%以上が週に1度以上の運動習慣を維持している。

 日体協スポーツ医・科学専門委員会の委員長で、JISS前センター長の川原貴さんは「昔は、若い頃に激しいトレーニングをした選手は年齢を重ねると一般の人よりも衰えが早いのではという懸念があった。しかし、調査をすると悪影響は少なく、プラス面の方が多いことが分かった」と話す。

 この追跡調査には当初、日本を含む23カ国・地域が参加した。しかし、年を追うごとに調査を行う国が減っていき、現在では日本だけが続けている。川原さんは「これだけの貴重なデータを蓄積してきた。価値が高く、世界にも類がない研究だと思う」と強調する。20年東京五輪に向け、これまでの調査で出たデータを詳細に分析し、医学や五輪関係の国際会議などで発表する方針だ。

 ◇ ◇ ◇

 2016年の調査を受けた約120人のうち4人のオリンピアン、体操男子の早田卓次さん、男子マラソンの君原健二さん、レスリング男子の渡辺長武さん、重量挙げ男子の三宅義信さんに話を聞いた。

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