東京五輪「祭典まで1000日」~縁の下の精鋭たち~

ライバルを徹底解剖=進化する分析手法-バドミントン

 昨年のリオデジャネイロ五輪や今夏の世界選手権で目覚ましい躍進を見せたバドミントンの日本勢。その背景には、国際大会の試合映像を地道に分析するスタッフの支えがある。東京五輪に向けて、より有益なデータ解析ができるように試行錯誤が続く。

 分析スタッフは2008年から年間約15の主要な国際大会で日本代表に同行。1大会当たり70~100試合を撮影し、専用ソフトを使ってサーブや返球、得点パターンなどさまざまな項目を分析する。リオ五輪前には海外のライバル選手の映像を集めて傾向を徹底的に探り、女子ダブルスで高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)が金メダルを獲得するなど日本勢の活躍につながった。

 一方、勝利への対策を立てることはしない。07年から担当する飯塚太郎さん(42)は、「対策は選手やコーチが考える。それに役立つ素材を提供するのがわれわれの役割で、アイデア勝負」と明確に線引きする。選手はタブレット型端末「iPad(アイパッド)」でいつでも映像を見ることが可能。サーブやスマッシュなど確認したい項目を押せば、その部分の映像が流れる。

 分析項目は選手らの意見を採り入れながら年々変化している。新たな分析ソフトの開発も進み、早ければ来年には試合中に選手が動いた総距離やスピードをデータ化できるようになる。「よりパフォーマンスに直結したデータが集まり、トレーニングの精度も上がる。たくさんの日本選手が東京五輪に出場できる状況をつくり出したい」と飯塚さん。さらなる飛躍を目指し、分析手法も進化を続ける。

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