東京五輪「祭典まで1000日」~縁の下の精鋭たち~

データ生かす「見逃さない目」=粘り強い中田新体制-バレーボール

 どの競技もデータの活用なくして好成績は望めない。バレーボールでは事前に対戦相手を分析して戦略を練るだけでなく、試合中も情報を更新して相手の作戦に対応する。

 中田久美新監督(52)が率いる全日本女子は、7月の国際大会で強豪のセルビア、ロシアに0-2から逆転勝ちするなど粘り強さを発揮。情報戦で優位に立ったことが勝因の一つだった。

 現役時代、セッターとして活躍した中田監督は選手をまとめるのに「見逃さない目はすごく大事」と考えている。それは、スパイクだけで約10項目のデータを活用する上でも変わらない。

 気になったデータについては関連映像を繰り返しチェック。サーブレシーブなら、レシーバーの手の角度、相手サーブの軌道などの細かい動きから何が成否を分けたのかを見極め、次に生かす。プレミアリーグの久光製薬時代から中田監督を支えるアナリストの新村薫さん(33)は、「誰も気付かないところに気付く」と感服する。

 新村さんもデータと合わせ、自身の目を大事にしている。試合中はコートの後方から相手ブロックのつき方、サーブのコース、選手の状態などを注視。「横から見るのと全然違う。気付いた段階でベンチに情報を流す」。相手エースのスパイク決定率が高かった時、それまでの得点場面を検索ソフトで引っ張り出し、守備の修正に役立てたこともあった。

 中田体制1年目が終了した。来年に向け、新村さんはデータを洗い直して課題と収穫を明確にする作業に取り組む。そして、多くの試合を見て「力をつけたい」と眼力を養おうとしている。強豪国との体格差を戦術で補おうと模索する日本。磨かれた「見逃さない目」が大きな武器になる。

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