昨年のリオデジャネイロ五輪でメダル7個(金2、銀2、銅3)を獲得し、東京五輪でも活躍が期待される競泳日本代表。さらなるメダル量産に向けた「泳力向上」へ、科学的アプローチを採り入れた強化にも積極的に取り組んでいる。
スウェーデン出身のアナリスト、マグナス・シェルベルグさん(60)は動作分析を担当。合宿やレースで水中映像を撮影し、スタート時に飛び込む角度や腕のかきを分析している。水の抵抗を減らし、無駄なくスピードを出せる動きに近づけるように、過去の大会の映像や海外のトップ選手の泳ぎとも比較して選手やコーチにアドバイス。「良い泳ぎの記憶に頼る従来の指導はもう古い。映像を使うことでより正しい泳ぎに近づける」と力を込める。
初めて日本代表の強化に携わったのは2012年ロンドン五輪時。競泳勢は戦後最多となるメダル11個(銀3、銅8)を獲得し、その後は通年のスタッフとして支えている。日本代表の平井伯昌ヘッドコーチは「指導者とは違った角度から泳ぎを見てくれるので、選手も興味を持って話を聞いている。立場はアナリストだが、コーチにも遠慮なく考えを言ってくれるのは助かる」と信頼を寄せる。
世界の舞台では、短距離を中心に大型でパワーのある選手が表彰台の多くを占めるが、抵抗の少ない伸びやかな泳ぎは、日本選手の活躍を支える大きな要素。「五輪でメダルを取れる実力と経験を持つ選手がたくさんいる。東京五輪でも素晴らしい結果が出せるはず」とシェルベルグさん。「相棒」と呼ぶ水中カメラを手に期待を口にした。
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