東京五輪「祭典まで1000日」~縁の下の精鋭たち~

暑熱対策に「アイススラリー」=胃腸への負担少ない冷却飲料-JISS

 日本オリンピック委員会(JOC)が掲げる東京五輪のメダル目標は「金メダル30個」(山下泰裕選手強化本部長)。目標達成には選手のベストパフォーマンスを引き出すトレーニング方法や競技環境整備などのサポートが不可欠だ。選手たちを支える縁の下の精鋭たちを紹介する。(2017年10月配信)

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 真夏に開催される東京五輪。国立スポーツ科学センター(JISS)では2015年から本格的に暑熱対策の研究を始め、各競技団体に情報を提供している。

 高い気温の中で選手がパフォーマンスを維持するには、体を冷やして体温を上げない工夫が必要。JISSは冷却素材が入ったアイスベストやネッククーラーなどの他、摂取することで体の内部から冷やすシャーベット状の氷飲料「アイススラリー」を強く推奨する。

 運動選手用のアイススラリーは、広島大大学院総合科学研究科の長谷川博教授(46)が飲料メーカーなどと共同で開発した。水や薄めのスポーツドリンクを製氷し、微細に砕いてシャーベットと液体分が混ざり合うような状態にする。流動性のある氷の粒子を飲むことで体内から効果的に冷やし、同時に水分補給もできる。

 運動前に飲んでおくと、発汗量が減って脱水症状を抑えることもできる。長谷川教授は「アイススラリーは少量で効率良く体温を下げるので、胃腸への負担が少ない。製造する装置もコンパクトで使いやすい」と利点を説明する。

 7人制ラグビーの男子日本代表は7月の合宿でアイススラリーを試飲した。昨年のリオデジャネイロ五輪代表の坂井克行(豊田自動織機)は「水だけを飲むより、体の火照りが確実に取れる感じがする」と効果を実感した。屋外で1日に2~3試合をこなす競技だけに、これまでもアイスバス(冷水浴)などを活用してきた。日本ラグビー協会の強化担当者は「今後も選手の感想を聞き、好評なら常備したい」と導入に前向きだ。

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