特集 スポーツクローズアップ2009

16年五輪、東京落選

 10月、コペンハーゲンで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会。2016年夏季五輪開催地を選ぶIOC委員の投票で、東京は落選した。それから間もなく広島、長崎が共催による20年夏季五輪招致を検討すると表明。東京も石原慎太郎都知事が再挑戦の意向を示した。夏季五輪招致3連敗となった日本が、また招致へ動くのか。
 広島、長崎両市の意思表明は「核なき世界」を提唱するオバマ米大統領のノーベル平和賞受賞が決まった直後。その効果もあり、「被爆地で平和の祭典を」のうたい文句は派手に伝えられた。
 しかし、実現性には疑問符が付く。五輪憲章に「1都市開催」とあるのが理由の一つ。両市は「新しい形を提案したい」と主張するが、日本オリンピック委員会(JOC)によるとIOCは共催に否定的なムードだ。
 東京にも障壁がある。知事に対し都議会が「活動費150億円を投じた16年招致の総括も終わっていない」などと反発。現状では立候補に必要な議会承認もおぼつかない。
 JOCの本音は「もう一度東京で勝負したい」だろう。「今回の教訓や密になったIOC委員との関係を生かすべきだ」「敗れたが、東京の評価は高かった」と幹部は口をそろえる。一方、「被爆地で五輪を」のアピール力も捨て切れない。
 JOCはこのほど五輪招致戦略本部を設置、招致成功への指針を検討中だ。「敗因を分析し、今後に明るい材料を提示できるかがカギ」と関係者。うまくいけば都議会の雰囲気を変える期待も持てる。「東京を主会場に、マラソンなど一部競技を広島で」との石原知事の案についても実現性を探ることになりそうだ。(2009/12/04)

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