11日に開場から1カ月を迎える東京・豊洲市場(江東区)では、柱の多さなど建物の構造による使い勝手の悪さを指摘する声がいまだに多く上がっている。マグロの競りや鮮魚全般の荷さばきなどに支障が出ている。
高額取引になるマグロの競りは、公平を期すため卸5社が同時進行で実施している。移転前の築地市場(中央区)では、各社の競りを渡り歩き、目当ての魚を落札する姿が多くみられた。一方、豊洲は競り場に複数ある巨大な柱が立ちふさがり「もう隣の(卸の)競りには気軽に移れなくなった」とベテラン仲卸業者は話す。
別の仲卸業者も「柱のせいで、周りの競りやライバルの動きをチラ見しての駆け引きがしにくい」と明かす。柱が多い場所は、青森・大間産などの高級天然マグロが並ぶ定位置でもあるため、年末年始の需要期にはスペース不足のほか取引への影響も心配されている。
アジやサンマ、養殖ブリなどが大量に取引されている鮮魚売り場でも「壁や柱が気になってフォークリフトの運転には神経を使う」と卸会社の物流専門スタッフ。構造物が多く築地ほど通路が広くないため「混雑時は魚を引き取る(小型運搬車の)ターレが集中して身動きが取れない」と卸会社の営業担当者も困り顔だ。
市場が立体構造になったことも作業効率を悪化させている。買い出し人のトラックがある上層階の駐車場までターレで配達している仲卸業者は「坂とカーブがきつく、慣れてきても築地より2倍は時間がかかる」と話す。
視察に来た市場外の食品会社のある幹部は「いろんな物流倉庫を見たが、こんなに障害物が多い迷路のような施設は初めて。働く人は大変」と同情する。
現場では、ターレやフォークリフトの動きを円滑にするルールづくりや交差点での譲り合いの徹底など、地道な改善努力を進めているが、築地のような慣れ親しんだ環境になるのは当分先になりそうだ。(2018年11月10日配信)
〔写真〕生マグロ売り場を分断する巨大な柱(写真上)と運搬車両で混み合う鮮魚売り場の通路=8日午前、東京都江東区の豊洲市場
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