年末年始に需要が高まるマダコが、過去に例がないほどの高値となっている。スーパーなどで安く大量に売られていた西アフリカ産が、世界的な需要の高まりを受け、国産の上級品並みに値上がり。たこ焼きや酢の物など幅広く親しまれてきた庶民の味が、食卓から遠のきそうだ。
国内で消費されるマダコは、モーリタニアやモロッコなど西アフリカ産が大半を占める。同産は手頃な価格に加え、「赤色がきれいで、身が軟らかい」(小売り関係者)ことから定番の売れ筋商品だった。
ところが、今年は秋ごろから小売価格が急上昇。首都圏の量販店では12月上旬、同産が100グラム当たり400円前後と、前年より3割以上高い。すし店も扱う上質な国産近海物に迫る水準だ。同98円の特売も珍しくなかった5年以上前は店頭で山積みされていたが、今では売り場も縮小し、1パック容量も大幅に減っている。
値上がりの理由について、東京・豊洲市場(江東区)の卸会社は「不漁に加え、欧米での需要が伸びて産地価格がつり上がっている」と説明する。日本と同様にタコを食べる習慣があるスペインなどでは「観光客が増え、飲食店などで消費が拡大している」という。かつては「デビルフィッシュ」と呼んで敬遠していた米国でも、ヒスパニック系住民の食文化が徐々に浸透して輸入量が増えている。
輸入物の高騰で国産の引き合いが強まっているが、ブランド品として名高い兵庫産の「明石ダコ」が不漁に見舞われているほか、昨年が豊漁だった宮城産も「今年は水揚げが振るわない」(同市場の鮮魚卸担当者)と供給状況は良くない。マダコの代替品で、おせちの酢だこにも使われるミズダコも値上がりしており、市場関係者からは「需要期なのにこれでは八方ふさがり」と嘆く声が上がっている。(2018年12月20日配信)
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