◆8場所連続、秋に進退
稀勢の里が名古屋場所も休場する。横綱の8場所連続は年6場所制となった1958年以降では7場所連続で全休した貴乃花を抜き最長。「来場所全てを懸けて頑張りたい」と覚悟を口にした。横綱審議委員会の北村正任委員長は「来場所に全てを懸けるという本人の決意を尊重したい」とコメント。秋場所は背水の陣となる。 次を意識しての決断は心身両面で再起への手応えを感じ取ったからだろう。昨年の春場所で負った左胸のけがについて、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は「まだ少し痛みはあるが、左手も自然に使えるようになってきた」と説明する。
がむしゃらな姿勢も見えた。2日に出稽古先の九重部屋で偶然、白鵬と一緒になり10番取った。終始劣勢だったが「目覚めた気がする」。闘志がよみがえったように、翌日も白鵬の元へ出向いた。
7場所連続休場を経験した貴乃花親方(元横綱)は「相撲を取れる体と精神。それが一つになるかどうか」と話す。その両面で光が見えてきたことで、来場所に全てを懸ける道を選んだ。稀勢の里は「名古屋でつかめたのでもう少し。来場所までには何とか」と言う。夏巡業でも激しい稽古を積んであと一歩を詰めていくつもりだ。
ただ、相撲勘は本場所でしか取り戻せない部分もある。これまでとは少し違う前向きな休場ではあるが、土俵際に追い詰められたのは間違いない。(運動部)
(2018.7.5配信)
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