稀勢の里 苦闘の日々

瀬戸際でもマイペース

 ◆「質重視」の稽古

 秋場所で進退を懸ける覚悟を語っていた稀勢の里が、8場所連続休場からの再起を果たすために何をするのか。7月末に始まった夏巡業で大きな注目を浴びる中、瀬戸際の横綱はマイペースな姿勢を貫いた。
 申し合い稽古を始めたのは巡業初日の1週間後。番数も20番を超えるほどの量はこなさず、巡業後半になっても土俵周りでの基礎運動だけに終始した日も。「番数と言うけれど、四股とかすり足とか腰を割ったりするのも大事」と本人。約1カ月に及んだ長丁場では、質を重視したと言いたげだった。
 番付発表後の8月末の横綱審議委員による稽古総見で鶴竜、豪栄道、栃ノ心の上位と申し合いを行い、二所ノ関一門の連合稽古でも一門外から参加した豪栄道と再び手合わせして調整のペースを上げた。
 ただ、稽古総見と連合稽古を見守った北の富士勝昭さん(元横綱)は「今の状態で自分のやりたいことができる相手と番数を取らないと。もっと番数をやるべきだ。気迫が感じられない」。退路を断って臨もうとする横綱の姿としては物足りなさを感じざるを得ない。
 横綱の大先輩の指摘を伝え聞いた稀勢の里は「しっかりまた修正して」と答えた。年6場所になって以降、これほど長く休み続けた横綱はいない。窮地を脱するために選んだ道筋の正しさを証明するための場所は9日に初日を迎える。(運動部)
 (2018.9.5配信)

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