◆土俵際で執念
◇2018年秋場所2日目(9月10日、東京・両国国技館)◇
稀勢の里が大きな白星をもぎ取った。過去1勝2敗の貴景勝との一番。一気に土俵際まで押し込まれたが踏ん張り、いなされても落ちなかった。再び押されても右足を俵に掛けて執念で残し、右からの突きで仕留めた。
難敵を退けて連勝スタートを決めても、表情は変えない。支度部屋でも「集中してやりました」と淡々と振り返った。
カギは右足で踏み込んでいた立ち合いだった。この一歩があったから、押し込まれても腰が浮かず、完全に受け身にならなかった。だから押しに耐え、いなしに足がついていった。八角理事長(元横綱北勝海)も「張り差しとか小細工をしたら腰が浮いていた。踏み込んだから」と窮地を脱したポイントを挙げた。
取組後には客席から「何でもいいから勝てばいいんだよ」と声援が飛んだ。進退が懸かる場所、問われるのは内容より星数だ。八角理事長は「こういう相撲で勝つと自信がつく」とみる。
欲しいのは結果だけ。横綱は3日目へ目を向け、「また集中して」と多くを語らないが、大きな1勝なのは間違いない。(運動部)
(2018.9.10配信)
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