稀勢の里 苦闘の日々

土俵際で逆転、逆転

 ◆泥臭く3連勝

 ◇2018年秋場所3日目(9月11日、東京・両国国技館)◇
 満員の館内が連日、悲鳴に包まれた。結びの一番。稀勢の里は土俵際で豊山に突き落としを見舞い、そのまま転げ落ちた。物言いがつく際どい勝負。肩で息をしながら、錦戸審判長(元関脇水戸泉)の説明を待つ。「軍配通り」と聞くと口元をぐっと結んで土俵へ上がり、勝ち名乗りを受けた。
 立ち合いは2度目で成立。豊山の突っ張りをこらえ、左を差して上手を引く万全の形になっても仕留め切れない。上手を切られると、半身で腰が浮く苦しい体勢に。土俵際までずるずると押し込まれたが、前日の貴景勝戦と同様に、右から逆転の突き落としを決めた。
 審判として土俵下にいた兄弟子の西岩親方(元関脇若の里)は「横綱のプライドを捨てて、泥臭く、必死な姿。それが稀勢の里の相撲でもある」とみる。進退を懸けた土俵で、なりふり構わず白星をつかみ取ろうとする弟弟子の心中を思いやる。
 本土俵から長く離れていた今の稀勢の里にとって、楽な相手はいないだろう。「あしたまた、しっかり集中してやりたい」。過去11戦全勝の魁聖の挑戦も必死にはね返す。(運動部)
 (2018.9.11配信)

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