大相撲 新星探査

友風 ピアノも楽しむ尾車部屋の新しい「風」

 ◆嘉風からの貴重な助言

 尾車部屋期待の友風は、夏場所で番付を自己最高位の東幕下13枚目まで上げてきた。183センチ、170キロの恵まれた体からの突き、押しが武器。昨年の夏場所で初土俵を踏むと、5場所連続で勝ち越すなど関取へ順調に歩みを進めている。
 東幕下18枚目で迎えた春場所はデビュー以来、最も苦戦した。それまでの全ての場所は5番相撲までに勝ち越しを決め、序ノ口と三段目では7戦全勝で優勝もしたが、春場所の勝ち越しは6番相撲だった。「3勝2敗になったのは初めてで、すごいプレッシャーでした。勝ち越せてよかった」と思わず本音が漏れた。幕下上位で相撲を取る難しさを感じながらも、「力が通用するのは分かった」と手応えもあった。
 現在は、日体大の先輩でもある嘉風の付け人も務めており、兄弟子からの言葉も貴重だ。嘉風からは「負けて学ぶこともある」、「上の方が体の大きい人が多いし、立ち合いに変な意識をしない分、やりやすいかもしれない」などのアドバイスを送られ、それも力になっているという。

 ◆ここ一番の精神力を

 意外な趣味がある。ピアノだ。「音大に行きたかったこともある」と話すほどの腕前で、その話題になると思わず表情が緩む。相撲漬けの日々を送る中で、ピアノを弾きに出かけることは最大の息抜き。「今は相撲が大事だし、(息抜きに)遊ぶよりもそっちの方がいい。リラックスできます」と、演奏しながら心身を癒やしている。
 春場所は7番相撲で敗れて4勝3敗で終え「もっとやれていた」と悔しさも残った。課題は「たくさんある」が、最も改善したいのが精神面。先場所は、取組前に考え過ぎてうまくいかなかったこともあり、「メンタルで負けた相撲があった。それだけが理由じゃないけど、メンタルを強くするために稽古をしたい」。関取になるために必要なのは自分の相撲に自信を持つこと。友風は地道に稽古を重ねていく。

 ◆友風(ともかぜ) 1994年12月2日生まれ、本名・南友太(みなみ・ゆうた)、川崎市出身、尾車部屋。2017年夏場所初土俵。183センチ、170キロ。

 ◇力士の趣味・特技 音楽では1967年、北の富士が「ネオン無情」を出したのに始まり、昭和の時代に多くの力士がレコードを出している。増位山(2代目)は「そんな女のひとりごと」「男の背中」などの大ヒット曲を連発し、友風の師匠、琴風の「まわり道」も50万枚のヒットとなった。多芸な増位山は絵画でも二科展入選などの実績を持ち、日馬富士も油絵の個展を開いたほど。意外な趣味では北桜のビーズ編み、玉鷲の手芸やクッキー作りなどが知られている。(引退力士は現役時代の四股名)
 (データなどは2018年春場所終了時)
 (時事通信運動部相撲担当・酒谷 裕)

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