大相撲 新星探査

琴手計 幕下上位で試す「自分の相撲」

 ◆2度目の幕下で成長の跡

 初場所で西幕下48枚目、19歳の琴手計は6勝1敗と勝ち越した。初めて幕下に上がった昨年の秋場所では、西58枚目で3勝4敗。相手の出方を慎重に考えるあまり、安易な引き技に頼ってしまう場面が目立ち、「緊張して硬くなってしまって、前に出ることができなかった」と当時を振り返る。
 しかし、三段目に落ちた九州場所は5勝し、1場所で幕下へ再昇進。初場所では相手を過度に意識せず、立ち合いに当たって先手を取り、積極的に前へ出る相撲を取れた。「精神的に成長できたことが大きい。自分の相撲ができれば勝てることが分かった」。一つ階段を上った姿を見せた。

 ◆考えて学ぶ技術

 大関豪栄道、関脇貴景勝ら多くの関取が輩出している強豪校の埼玉栄高から佐渡ケ嶽部屋に入門。2017年九州場所で初土俵を踏んだ。身長188センチ、体重も144キロから160キロまで増え、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「馬力もあって体も柔らかい。琴手計を見たいと言われる力士になってほしい」と期待を寄せる。同世代には注目力士が多い。元横綱大鵬の孫の納谷(大嶽部屋)と塚原(春日野部屋)は埼玉栄の同級生。元横綱朝青龍のおい豊昇龍(立浪部屋)らもいるが、将来性では彼らに引けを取らない。
 部屋では、大先輩の琴奨菊から指導を受けることも多い。立ち合いでの足の出し方など長いキャリアで培った技術を学び、「考えないで感覚だけでやっていた部分があった。勉強になる」。貪欲に吸収し、自身の相撲に生かそうとしている。
 春場所では自己最高位の西幕下20枚目まで上がり、当たりの強さや相撲のうまさなど、簡単には勝てない相手が増える位置で、どこまで自分の相撲を取れるか。「相手どうこうではなく、自分の力を出し切る意識を持ってやりたい」という。

 ◆琴手計(ことてばかり) 1999年8月26日生まれ、本名・手計富士紀(てばかり・としき)。千葉県柏市出身、佐渡ケ嶽部屋。188センチ、160キロ。埼玉栄高3年時に納谷らと国体少年団体の部の連覇に貢献した。
(記録などは2019年春場所番付発表現在)
(時事通信社相撲担当・國元祐太朗)

 ◇花のニッパチ、サンパチ プロ野球にも「松坂世代」があるように、大相撲にもかつて「花のニッパチ」「花のサンパチ」と呼ばれた世代があった。前者は昭和28(1953)年生まれの北の湖、若乃花(横綱2代目)、麒麟児、金城(のち栃光)、大錦。横綱2人、関脇2人、小結1人という顔触れだった。後者はその10年後に生まれた北勝海、双羽黒、小錦、寺尾、琴ケ梅でこちらも横綱2人、大関1人、関脇2人。さらにその後では曙、貴乃花、若乃花(横綱3代目)、魁皇が同じ1988年春場所初土俵。年齢は違うが、同期生として切磋琢磨し、番付を上げていった。

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