2016スポーツ・クローズアップ

【ゴルフ】視界にメジャー制覇

 ◇成長見せた松山

 2016年2月のフェニックス・オープンで米ツアー2勝目を挙げた後も、松山英樹は首をかしげることが多かった。思ったスイングができず、アイアンの距離感も合わない。それでも、ひとたびかみ合うと爆発力があった。

 4月のマスターズは第3ラウンドを終えて首位と2打差の3位。最終日に失速して7位に終わったが、アマ時代から通算14度目のメジャーで、初めて優勝に手が届く距離まで近づいた。

 その後は全米オープン、全英オープンとも予選落ちしたが、全米プロで再び優勝を争って4位。届きそうで届かないもどかしさ。「メジャーで勝つにはどうしたらいいのか」。好不調の波の中で、自問自答が続いた。

 カギは技術的なものに限らない。東北福祉大の恩師である阿部靖彦監督は言う。「ゴルフを磨いただけでは米国では勝てない。心も頭も強くなっていかないと」。松山の周囲への接し方などを見ていると、24歳の青年が心も着実に成長していることを感じるという。

 パットの感触が良くなった秋以降は、一皮むけたような好調さ。日本オープン初優勝に続き、三井住友VISA太平洋マスターズは23アンダーの大会新で完全優勝。10月に新たなシーズンに入った米ツアーでも初戦で2位、続くHSBCチャンピオンズで世界選手権シリーズ初制覇と安定感が際立ってきた。

 「メジャーで勝ちたい気持ちが一層強くなった」「日本の男子ツアーは、女子に比べてあまり人気がない。僕が(メジャーで)優勝すると見方も変わると思うので頑張りたい」。重圧がかかった戦いを重ねるうちに、そんな思いが湧いている。(注=年齢は12月現在)

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