2016スポーツ・クローズアップ

【バドミントン】タカマツペア、金引き寄せた1点

 ◇磨いた形、自信のスマッシュ

 窮地でこそ真価が問われる。金メダルを懸けた決勝の最終第3ゲーム。リオデジャネイロ五輪バドミントン女子ダブルスで高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)が16-19から5連続得点で栄冠に輝いた。カギになったのは、2人が頂点に立つために磨いてきた形で奪った1点だった。

 日本ペアが18-19と迫った直後。同点に追い付くか、長身のデンマークペアにマッチポイントを握られるかの瀬戸際のラリーで、前衛の松友が相手の返球に飛びつくように4回続けて打ち返す。最後の一打は鋭いクロススマッシュとなり、流れを大きく引き寄せた。

 松友がネット前でチャンスをつくり、後衛の高橋の強打を軸に攻めるのが基本的な陣形。だが、2人は3回戦で敗退した2015年の世界選手権で攻め手を増やす必要性を痛感した。理想としたのが、強豪ひしめく中国勢のように前衛も果敢に攻撃参加する戦い方だった。

 松友が攻めに集中すれば、守備に穴があく恐れもある。それでも26歳で年長の高橋は24歳の松友に「多少リスクを背負っても飛び出して。私がカバーする」と伝え、試行錯誤を重ねてきた。新たなスタイルを熟成させ、世界ランキング1位として臨んだ五輪。松友は「勝てなかった時期に勉強させてもらったから今がある。練習してきたことをやって負けたら仕方ないと思っていた」。自信は揺らがなかった。

 16年4月に男子シングルスのメダル候補だった桃田賢斗(NTT東日本)らの違法賭博が発覚。五輪直前の日本バドミントン界は大揺れだった。この競技で日本勢初の五輪金メダルは、そんな暗雲も吹き飛ばす快挙となった。(注=年齢は12月現在)

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