2016スポーツ・クローズアップ

【競泳】萩野、肘に重りの感覚

 ◇五輪は喜びより悔しさ

 全競技を通じ、リオデジャネイロ五輪の日本勢金メダル1号は競泳男子400メートル個人メドレーを制した萩野公介(22)=東洋大=がもたらした。開幕直後の金は日本選手団全体に好影響を与えたに違いない。他種目の銀、銅と合わせ、自身が手にしたメダルは3個。だが、喜びに浸ったわけではない。残った思いは「悔しさと課題」だった。

 2015年6月、強化合宿先のフランスで自転車に乗っていて転倒し右肘を骨折。五輪前年、全治2カ月のけがは影響が大きかった。練習を再開してからも、しばらくは長い距離を泳ぐと患部に水がたまる状態。回復後も右肘には骨の破片が残り、以前のように腕をしならせて水を捉える泳ぎができなくなっていた。左右のストロークのバランスが崩れたため、五輪に向けて肘を伸ばさないフォームに修正。それでも泳ぐと痛みがあり、五輪期間中も「右肘に重りをつけている感じだった」と明かす。

 得意の400メートルでは勝ったものの、五輪最後のレースとなった200メートル個人メドレーはマイケル・フェルプス(米国)に約2秒差の完敗。銀メダルにも1分56秒台は納得できるタイムではなく、「得たものは課題。もっともっとできたのではないかと思う五輪だった」。大会後、すぐに右肘の手術を決断。9月末にメスを入れた。

 年内の大会は欠場し、17年の世界選手権(ブダペスト)で再び複数の種目で表彰台を狙う。不安を取り除き、「全ては4年後のため。さらにいい結果を目指す」と視線は東京五輪へ。11月に水中練習を再開し、より強くなるための歩みを進めている。(注=年齢は12月15日現在)

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