特集・ラグビーW杯2015 JAPANの戦い

五郎丸、精密キックで24点

◇歴史変えたジョーンズHC

 W杯初出場の五郎丸が、大金星の立役者になった。34得点のうち、一人で24得点。「歴史を変えようとやってきたチーム。それを体現できた。精神的にも肉体的にも、鍛え上げた成果」。普段通りの淡々とした口調にも、あふれんばかりの充実感をにじませた。

 まずは前半7分に、PGを決めて先制。その直後、再び得たPGは外したが、動揺はなかった。「そこは成長した部分だと思う。平常心だった」。その後も独特のフォームから正確なキックを繰り出し、4PG、2ゴールを成功させた。後半28分には、松島からのラストパスを受けてW杯初トライ。「トップリーグでも取らないのに」と、冗談交じりに喜んだ。

 19歳だった10年前に日本代表入りしたが、W杯には縁がなかった。念願の舞台に立ち、試合前は気持ちの高ぶりを抑えるのに苦労した。それでも、笛が鳴った後はただ仲間を信じた。最後は足がつるほど、力を出し切った。

 ジョーンズ・ヘッドコーチからは、W杯で85%以上のキック成功率を求められている。「しっかり回復して、次に臨みたい。スコットランドも警戒してくると思う」。自慢の右足で、再び日本を勝利に導くつもりだ。 (ブライトン時事)


 ◇ジョーンズHC「最後まで勇敢」

 試合が終わってグラウンドに降りた日本代表のジョーンズ・ヘッドコーチは、少し目元を拭った。記者会見では、満面に笑みを浮かべながら「最後まで勇敢に戦った」。大番狂わせを演じた選手たちを優しい口調でたたえた。

 2012年に就任して以来、このW杯で勝つために、脇目も振らずに仕事に励んできた。日本が抱えてきた弱点を解消するため、合宿は1日3度の練習が基本。朝5時からの筋力トレーニングにも必ず顔を出し、選手の状態を確かめ、深夜まで練習計画を練り直す。

 「私は日本のラグビーがどうしたら強くなるか、寝ないで四六時中考えている」。その表現は決して誇張ではない。13年に軽度の脳梗塞で倒れた際には、ベッドからニュージーランド戦のメンバー選考で担当コーチに指示を出したほどだ。

 強化に役立つと思えば何でもやった。プロ野球巨人の原監督、ドイツサッカーの名門、バイエルン・ミュンヘンのグアルディオラ監督ら他競技で実績を残した指導者と積極的に交流し、ヒントを求めた。W杯前の合宿では、プロ野球ソフトバンク会長の王貞治氏を呼んで講演を依頼し、選手に成功体験を聞かせた。

 8月にW杯後の退任を発表。それでも求心力が落ちなかったのは、選手全員が指揮官の情熱と努力を理解しているからだった。「日本の歴史は変わった。しかし、われわれの目標はベスト8」。快挙の余韻に浸る間もなく、厳しい顔で次のスコットランド戦をにらんだ。(ブライトン時事)

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