特集 マスターズゴルフ

日本勢の挑戦(4)

 日本が東日本大震災に見舞われた2011年、日本からマスターズに挑んだ19歳の2人が、被災地を勇気づける活躍を演じた。

 前年のアジア・アマチュア選手権に優勝し、日本のアマチュアとして初めてマスターズへの出場資格を得た松山英樹は通算1アンダーの27位に。大会のベストアマに輝き、優勝したシャール・シュワーツェル(南アフリカ)らとともに表彰式に出席。ジャック・ニクラウス、タイガー・ウッズらの名が刻まれたシルバーカップを手にした。

 ベテランの藤田寛之らが苦しんだ難コースを舞台に予選を突破。3日目にはショットが面白いようにピンに絡んで68をマークし、「自分のゴルフ人生で最高の1日。きょうは『ラッキー』じゃなかった」と喜んだ。疲れの見えた最終日も何とか踏ん張り、最終ホールをバーディーで締めた。

 被災地にある東北福祉大に所属。「4日間頑張れて、少しは仙台の人たちに勇気を与えられたと思う。改めて応援してくれた皆さんに感謝したい」。震災で大きなダメージを受けた日本からやって来た若武者の健闘は、米国でも大きな話題となった。

 3度目の挑戦となった石川遼も成長ぶりを見せた。初めて予選を通過。3日目に順位を落としながらも、最終日は連続バーディーで締めくくり、3アンダーの20位まで上がった。「4日間通じて安定していた。大事な3日目に順位を落としてしまったのも、今後に向けたいい経験」と振り返った。

 11年シーズンの獲得賞金は、震災への義援金として全額寄付。マスターズでの義援金は約930万円となり、「(支援活動の)出だしとしてはまずまず。1打を誰かのために打とうと思ったことは初めて。1スポーツ選手としてやるべきことをやるだけです」と被災地支援への意気込みを新たにした。

 松山はマスターズ10度目の挑戦となった2021年に通算10アンダーで初優勝。日本男子の悲願だった海外メジャー制覇を成し遂げ、ファンや関係者の感動を呼んだ。

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